第9回日本小児超音波研究会 学術集会 第9回日本小児超音波研究会 学術集会

主催者挨拶

ご挨拶

 この度、熊本市で第9回小児超音波研究会を開催いたします。
早いもので、この研究会が始まってからまもなく10年が過ぎようとしております。小児超音波の普及という遠い目標に掲げ、多くの先輩方、仲間達とともに様々な活動を行いながら前に向かって進んできた年月でした。
 遠くの目標に向かって進みながら、ふと周りを見渡すと「聴診器のようにエコーを使う」という当研究会の初代理事長内田正志先生の言葉に近い診療スタイルの方が増えた一方で、エコーが未だ未だ身近でない方々もいることに気づきました。エコーは「これだけあれば他は要らない」、といった特別なものではなく、より遠くに行くために発明された自動車や飛行機などと同じように、いわば身体能力を拡張するために人体の外部に接続されたツールだと考えています。
五感に加えて、超音波という、本来は人間が持っていない能力を使うことで体の中の様子をみることができます。昔の人々が想像するしかなかった鼠径ヘルニアの臓器脱出の様子や移動精巣で精巣が挙上する姿をメスを入れることなく見ることができるのです。このツールの使い方は、未だ未だいろいろあるのではないかと思います。
 このような思いを元に、今回の研究会では2つのテーマを用意しました。一つ目は日常診療の中での超音波の可能性について語りあう、です。このテーマのために、日常の中で超音波を使う新しく興味深いアイデアを募集します。いわゆる一般演題の募集ではなく、「日常の中で困った症例」「こんな超音波像が得られたがどう扱ったら良いのか分からない」といった荒削りな報告を募集します。それらについて会場の皆さんと一緒に考えることで、新しい超音波の使い方が見付かることを楽しみにしています。
 もう一つのテーマは、私が「超音波沼」にはまるきっかけとなった「急性虫垂炎」について語り尽くす、です。研究会の本編は11月17日ですが、前日の16日の午後、夕方に近い時間帯に、前夜祭として「マニアのための虫垂炎」についてのシンポジウムを、本編の中でも虫垂炎の診断と治療についてそれぞれワークショップを企画しております。
 今回扱うのは特別な疾患ではないですが、日常に隠れている「特別」を皆様と味わう2日間にできればと思います。
 また、今回の研究会にはいつもと違う点がいくつかありますが、その一つとして、ランチョンセミナーはありません。会場は熊本市の中心街ですので、それぞれで目当てのお店に行っていただくのもよいですし、テイクアウトした食べ物を持ち寄って、会場でフリーディスカッションをしていただいてもかまいません。誰でも、自分の好きなタイミングで、誰にでも話しかけることで、あたらしい人脈をつくる場を提供できればと願っております。
 今すぐ、熊本行きのチケットを手配ください。会場でお待ちしております。